mtk13465003's diary

素敵な七十代を楽しく生きるために!

今週のお題「夏に読みたい1冊」
16歳の夏、17歳の夏、私の愛読書は「赤毛のアン」でした。何処がそんなに気に入ったかというと、物語の筋でも、アンの生き方でもなく情景描写の美しさにただただ心惹かれました。カナダという国の田舎に魅せられてしまったのです。
18歳の夏は受験勉強に明け暮れたというのは真っ赤な嘘で、ふと飛び込んだ映画館で上映していた「風と共に去りぬ」の強烈な印象に勉強どころではなくなりました。家族には図書館に行くと言って2度も見てしまいました。学校の図書室から本も借りてきて読みました。でも頭の中の半分は受験が気がかりでないはずはありません。
筆記試験は何とか終えて面接試験の日になりました。最悪の事態の始まりでした。本校専攻の訳とかいろいろ聞かれた後で「最近読んだ本はありますか。」と言われて思わず「風と共に去りぬを読みました。」と答えてしまって「作者を覚えていますか。」と聞かれるだろうと思った瞬間頭に血が上ってしまって訳が分からなくなりました。スカーレットとかビィビィアンリ―とかが頭に浮かび、作者が出てこないのです。「忘れました。でも女性だったと思います。」とだけやっと言うとそれから後のことはどうなったのか分からず終わりました。
お上りさんが都会に挑戦して見事に打ち砕かれたみじめな図ばかりが頭をよぎり、発表の日まで良く眠れませんでしたが、受験番号がないのを確認して気持ちを切り替えて田舎へ帰ろうと決めて、発表を見に行きました。ところが番号を見つけた時の嬉しさは比較するものがありませんでした。50年前の受験ってこんなものでした。
さあ今年の夏、読む予定の一冊はもう決まっています。先日発表された芥川賞藤野可織さんの「爪と目」です。早速インターネットの立ち読みサイトで読んでみました。父の恋人であるあなたを、父の子供である主人公の目を通して書いている不思議な作品です。立ち読みサイトは「続きは本誌にてお楽しみください。」で終わっていましたので、本を手に入れなければなりません。