mtk13465003's diary

素敵な七十代を楽しく生きるために!

あなたは卒業を前に何を考えますか?

今週のお題「卒業」
昨年も卒業について書いた記憶があります。今年は卒業を迎える前の、どこの家庭でも見られる情景、でもこんな情景もあったのかと胸がつぶれました。
「さくらさく」こんな電報を受け取って、家族で手を取り合って肩を抱き合って喜び合った記憶、そんな幸せな情景とは全く違った意味で、「さくらさく」を48年ぶりに受け取って、これからの人生をどう生きればいいのかを考えなければならない方がいらっしゃるのです。
静岡地裁の3分咲きほどの桜の下で繰り広げられた、「再審開始」の白旗やのぼりが打ち振られる感極まった会見は、これまでの道のりがどんなに長かったか、どんなに苦しかったかを物語って余りあるものでした。
再審開始を願い戦い続けて来た多くの支援者や家族(たった一人のお姉さん)が48年かけて「再審開始」の桜を咲かせ、「長い間ご支援くださり有難うございました。ただただ嬉しいの一語でございます。」と言うお姉さんの言葉に静岡地裁の庭は桜を満開にするほどの喜びに包まれました。
1966年、清水市の味噌製造業の一家4人を殺害し、放火したとして強盗殺人と放火の罪に問われ、犯人とされた袴田巌さんが死刑判決を受け、48年間も死刑囚として独房に収監されたのです。その間袴田さんは無罪を叫び、それを信じ再審請求を出し続けた肉親のお姉さん、そして多くの支援者、弁護士、法律家などが検察の証拠を否定し続けましたが、27年後に再審請求は棄却されてしまったのです。
それでも再度、再審請求を出し続け、ついに今年3月再審請求が認められ、しかも再審決定と共に釈放されるという裁判史上初の決定が下されたのです。
裁判官の「死刑の恐怖の下で長期間にわたり身柄を拘束されてきたことを思えば、これ以上の拘置を続けることは耐え難いほどの正義に反する」として釈放を下した勇気ある判断は、大岡裁きを見るような法にも情があることを私たちに感じさせてくれました。
その一方で捜査を厳しく批判され、証拠捏造まで指摘された検察や警察は当然東京高裁に控訴し、最高裁まで進むと思いますが、決定的な証拠が出なければ判定が覆るとは思わないというのが専門家の意見のようです。48年の間には科学捜査の進歩は著しく、DNA鑑定も48年前よりはるかに正確で、それらの証拠を覆すのは容易ではないというのです。
袴田巌さんの無罪が確定するのはそれほど遠くないとして、本当の犯人はどうしているのだろうと思うといたたまれない気持ちになります。48年間も無実の人間に罪を着せてのうのうと潜んでいる真犯人を許すことはできません。そして冤罪を作る権力も許せません。
許せないことはあっても、人は、生きることを止めるわけにはいきません。袴田さんも残された人生を、失われた48年を取り戻す気持ちで、健康に生きて欲しいと思います。「さくらさく」の便りを誰よりも袴田さんに私からお送りします。あなたにとってこれからが卒業の時です。